AWSは2026年7月30日、従来の「Amazon Bedrock Agents」を「Amazon Bedrock Agents Classic」へ改称し、新規顧客への提供を終了しました。ただし、Amazon Bedrock全体や既存のAIエージェントが終了するわけではありません。過去12か月以内にBedrock Agentsを利用したAWSアカウントは、これまで通り既存エージェントを実行でき、新しいエージェントも作成できます。影響を受けるのは、Bedrock Agentsを利用した実績がないAWSアカウントです。
AWSは今後のAIエージェント開発基盤として「Amazon Bedrock AgentCore」を推奨しています。AgentCoreは、Bedrock Agents Classicのように設定中心でエージェントを構築できる「AgentCore harness」に加えて、任意のフレームワークやモデルを利用できるサーバーレス実行環境・MCP対応のツール接続・長期メモリ・認証・ブラウザ操作・コード実行・監視機能などを組み合わせられるプラットフォームです。既存ユーザーが今すぐ移行する必要はありません。しかし、Bedrock Agents Classicには今後新機能や新しいモデルが追加されないため、新規開発ではAgentCoreを選ぶべき状況になっています。
- Amazon Bedrock Agents Classicはサービス終了ではない
- Amazon Bedrock自体は引き続き利用できる
- 新規受付終了の対象になるAWSアカウント
- 表示されるAccessDeniedException
- 既存のエージェントはそのまま使える
- 新しいモデルはBedrock Agents Classicへ追加されない
- AgentCoreとは
- Bedrock Agents ClassicとAgentCoreの違い
- AgentCore harnessはClassicに近い
- AgentCore Runtimeは独自実装向け
- AgentCoreではMCPを中心にツールを接続する
- Knowledge BasesとGuardrailsは移行後も使える
- AgentCoreへの自動移行ツールも用意
- 料金体系はClassicより複雑になる
- 新規開発ではAgentCoreを選ぶべき
- よくある質問
- まとめ
Amazon Bedrock Agents Classicはサービス終了ではない
今回の変更は、Bedrock Agents Classicの完全なサービス終了ではありません。AWSはBedrock Agents Classicをメンテナンスモードへ移行しました。既存ユーザーが作成済みのエージェントは引き続き動作し、更新・取得・一覧表示・削除・準備・呼び出し・アクショングループ・ナレッジベース・エイリアスなどのAPIも利用できます。
AWSはBedrock Agents Classicの終了予定日を発表していません。既存ユーザーについては、移行期限も設定されていません。一方、メンテナンスモードでは新機能の追加が行われません。新しい基盤モデルも、2026年7月30日時点のモデルカタログには追加されない方針です。そのため、短期的には利用を継続できても、長期的には新モデルや新しいエージェント機能を使えないという問題が生じます。
Amazon Bedrock自体は引き続き利用できる
今回新規受付が終了したのは、Amazon BedrockのなかでもAIエージェントを自動構成する「Bedrock Agents Classic」の部分だけです。Amazon Bedrockのモデル推論・Knowledge Bases・Guardrailsなどは影響を受けません。これらのサービスには今後も新しいモデルや機能が追加されます。Amazon Bedrockを通じてClaude・Amazon Nova・Meta Llamaなどの基盤モデルを直接呼び出しているだけであれば、今回の変更によってAPIが停止することはありません。
Claude Code AWS Bedrock・Google Vertex AI・Azure AI Foundry統合ガイドで解説している構成についても、モデル推論APIを利用する構成であり、Bedrock Agents Classicの新規受付終了とは別の仕組みです。「Amazon Bedrockが終了する」「BedrockからClaudeを利用できなくなる」という意味ではない点に注意が必要です。
新規受付終了の対象になるAWSアカウント
Bedrock Agents Classicを引き続き利用できるかどうかは、AWSアカウント単位で判定されます。2026年7月30日より前の12か月間にBedrock Agentsの利用実績があるアカウントは、自動的に許可リストへ登録されます。利用実績のないアカウントからCreateAgentまたはInvokeInlineAgentを呼び出すと、HTTP 403のAccessDeniedExceptionが返されます。AWSへ申請して例外的に利用を開始する制度は用意されていません。
複数のAWSアカウントを使っている場合は注意が必要です。開発用アカウントでBedrock Agentsを利用していても、本番用として新しく作成した別アカウントに利用実績がなければ、その本番アカウントではBedrock Agents Classicの新規エージェントを作成できません。AWS Organizations内で同じ組織に所属しているかどうかではなく、それぞれのAWSアカウントに過去の利用実績があるかどうかで判断されます。
表示されるAccessDeniedException
対象外のAWSアカウントでBedrock Agents Classicのエージェントを作成しようとすると、次のようなエラーが表示されます。
AccessDeniedException: Bedrock Agents is in Maintenance Mode. New agent creation is not available for accounts without prior service usage.
IAMポリシーにbedrock:CreateAgentを追加しても、このエラーは解消できません。権限不足ではなく、Bedrock Agents Classicを利用した実績がないアカウントに対するサービス側の制限だからです。AWSは例外申請を受け付けていないため、新しいAIエージェントはAgentCoreで構築する必要があります。
既存のエージェントはそのまま使える
許可リストに登録された既存ユーザーは、Bedrock Agents Classicのエージェントを継続して利用できます。既存エージェントの実行だけでなく、設定の更新や削除、新しいエージェントの作成も可能です。CloudFormation・AWS CDK・Terraformで作成した既存のIaCテンプレートも、許可対象のアカウントでは引き続き機能します。
サービス名はBedrock Agents Classicに変わりましたが、既存のAPI名前空間・SDKクライアント・CloudFormationのリソースタイプ・IAMアクションのプレフィックスは変更されません。既存コード内のbedrock-agentをbedrock-agent-classicへ書き換える必要もありません。今回の名称変更は、サービスの位置付けを示すためのものであり、APIの破壊的変更ではありません。
新しいモデルはBedrock Agents Classicへ追加されない
既存ユーザーにとって最も大きな制約は、利用できるモデルのカタログが固定されたことです。Bedrock Agents Classicのモデルカタログは、メンテナンスモードへ移行した2026年7月30日時点で凍結されました。それ以降にAmazon Bedrockへ追加される新モデルは、Bedrock Agents Classicのオーケストレーションモデルとして利用できません。
Amazon Bedrock自体には新しいモデルが追加されるため、通常のモデル推論APIから呼び出すことは可能です。しかし、Bedrock Agents Classicが自動的にプロンプトを組み立て、アクショングループやナレッジベースを呼び出す構成では、今後登場するモデルを選択できない可能性があります。最新のClaude・Amazon Nova・Gemini・OpenAIモデルなどをエージェントへ組み込みたい場合は、AgentCoreへの移行が必要になります。
AgentCoreとは
Amazon Bedrock AgentCoreは、AIエージェントを構築・接続・デプロイ・監視するためのマネージドプラットフォームです。Bedrock Agents Classicは、AWSが用意したオーケストレーション方法にモデル・指示・アクショングループ・ナレッジベースを登録して利用するサービスでした。AgentCoreでは、設定中心で利用できるAgentCore harnessと、自分でエージェントコードを実装するAgentCore Runtimeの2つの方法を選択できます。
AgentCore harnessでは、モデル・システムプロンプト・ツールなどを設定すると、モデルの呼び出し・ツール実行・コンテキスト管理・エラー処理を含むエージェントループをAWSが管理します。Bedrock Agents Classicに近い使い方を求める場合は、AgentCore harnessが事実上の後継サービスになります。
Bedrock Agents ClassicとAgentCoreの違い
Bedrock Agents ClassicとAgentCoreでは、AIエージェントの構築方法と自由度が異なります。
| 比較項目 | Bedrock Agents Classic | Amazon Bedrock AgentCore |
|---|---|---|
| 新規ユーザー | 受付終了 | 利用可能 |
| 今後の新機能 | 追加予定なし | 継続的に追加 |
| モデル | 2026年7月30日時点で固定 | Bedrock、OpenAI、Geminiなど |
| オーケストレーション | AWS管理の固定構成 | harnessまたは独自コード |
| ツール接続 | アクショングループ | Gateway、MCP、関数 |
| ナレッジベース | エージェントへ直接関連付け | Gatewayまたは検索ツール |
| メモリ | セッション・メモリ機能 | 短期・長期メモリ |
| 実行環境 | AWS管理 | 隔離されたサーバーレス環境 |
| フレームワーク | Bedrock Agentsの方式 | LangGraph、Strands、OpenAI Agents SDKなど |
| 監視 | トレース機能 | CloudWatchとエンドツーエンド監視 |
| ブラウザ操作 | 限定的 | AgentCore Browser |
| コード実行 | Code Interpreter | 隔離されたCode Interpreter |
AgentCoreはAmazon Bedrockのモデルだけに限定されません。AgentCore harnessはAmazon Bedrock・OpenAI・Google Gemini・OpenAI互換APIを利用できます。AgentCore Runtimeでは、LangGraph・CrewAI・LlamaIndex・Google ADK・OpenAI Agents SDK・Strands Agentsなどのフレームワークを動かせます。AWSのインフラ上でエージェントを運用しながら、モデルやフレームワークを用途に応じて選べる点がAgentCoreの大きな違いです。
AgentCore harnessはClassicに近い
Bedrock Agents Classicから大きく構成を変えたくない場合は、AgentCore harnessが適しています。AgentCore harnessでは、モデル・システムプロンプト・ツール・メモリ・実行制限などを設定として宣言します。エージェントがモデルを呼び出し、必要なツールを選択し、結果をモデルへ戻す処理はAWSが管理します。
Bedrock Agents Classicのアクショングループは、AgentCore Gatewayを通じてMCPツールとして公開できます。REST APIやLambda関数をGatewayへ接続し、エージェントから呼び出す構成です。Knowledge Basesも削除や再作成は不要で、既存のリソースをGatewayまたは検索ツール経由でAgentCoreへ接続できます。設定中心で構築できるため、独自のエージェントループを実装する必要がない点はBedrock Agents Classicと共通しています。
AgentCore Runtimeは独自実装向け
複雑なエージェントや既存のエージェントフレームワークを利用したい場合は、AgentCore Runtimeが適しています。Runtimeでは、開発者がエージェントのコードとオーケストレーション処理を実装します。作成したアプリケーションをコンテナとしてデプロイし、AgentCoreがセッション分離・スケーリング・認証・監視などの実行基盤を提供します。
複数のAIエージェントを連携させるマルチエージェント構成、独自のプロンプト制御、複雑な承認フロー、既存のLangGraphアプリケーションなどを移行する場合はRuntimeが向いています。自由度が高い一方で、エージェントループやエラー処理を自分で管理する必要があります。Bedrock Agents Classicと同程度の抽象化を求めるならharness、エージェントの動作を細かく制御したいならRuntimeという選び方になります。
AgentCoreではMCPを中心にツールを接続する
Bedrock Agents Classicでは、OpenAPIスキーマや関数定義を使ったアクショングループからLambda関数などを呼び出していました。AgentCoreでは、AgentCore GatewayがAPI・Lambda関数・既存サービスをMCP対応ツールとしてエージェントへ公開します。既存のMCPサーバーをGatewayへ接続することも可能です。MCPは、AIモデルと外部ツールを共通方式で接続するためのプロトコルです。
ツールを特定のエージェント実装へ直接組み込むのではなく、Gatewayを経由して公開することで、複数のエージェントから同じツールを利用しやすくなります。認証やアクセス制御もGatewayやAgentCore Identityへ集約できるため、外部サービスのAPIキーをエージェントコードへ直接持たせない構成を作れます。
Knowledge BasesとGuardrailsは移行後も使える
既存のAmazon Bedrock Knowledge Basesは、Bedrock Agents Classicのメンテナンスモードによる影響を受けません。AgentCoreへ移行するときも、Knowledge Base自体を作り直す必要はなく、Gatewayまたは検索ツールから既存のリソースへ接続できます。
Bedrock Guardrailsも引き続き利用できます。Amazon Bedrockのモデルへ設定したGuardrailsは、AgentCore経由でモデルを呼び出した場合にも適用されます。エージェントが実行できる操作を制限したい場合は、AgentCore Gatewayのポリシーも利用できます。そのため、AgentCoreへの移行は、Amazon Bedrockの既存リソースをすべて捨てて再構築する作業ではありません。エージェントのオーケストレーション部分とツール接続方法を新しい構成へ置き換える作業と考えると分かりやすいでしょう。
AgentCoreへの自動移行ツールも用意
AWSは、Bedrock Agents ClassicからAgentCore harnessへの移行を支援するエージェントスキルを公開しています。AWSのAgent Toolkitを対応するコーディングエージェントへ導入し、「Help me migrate my Bedrock Agent to AgentCore harness」と指示すると、既存エージェントの構成を確認し、コンポーネントの一覧・移行可能性・移行計画を生成します。
実際のデプロイ前には確認が求められ、対応していない機能が含まれる場合は処理を停止して代替方法を提示します。モデル・アクショングループ・Knowledge Baseを組み合わせた比較的単純なエージェントであれば、AgentCore CLIによるインポートやharnessの設定は数時間程度で完了する可能性があるとAWSは説明しています。独自のオーケストレーションや複雑なマルチエージェント構成を利用している場合は、コードの修正や設計変更が必要です。
料金体系はClassicより複雑になる
Bedrock Agents Classic自体には利用料金がなく、基盤モデルの推論・Knowledge Bases・Lambdaなど、実際に使用した関連サービスの料金が発生する仕組みです。この点はメンテナンスモード移行後も変わりません。AgentCore harnessにも、エージェントループを管理するための追加料金はありません。
ただし、AgentCoreではモデル推論に加えて、Runtime・Gateway・Memory・Browser・Code Interpreterなど、利用した機能に応じた従量料金が発生します。AgentCore Runtimeは、使用したCPUとメモリに対して1秒単位で課金されます。Gatewayはツールの呼び出し回数、Memoryは保存したイベントや長期記憶、Code InterpreterやBrowserは実行時のリソース消費量に応じて料金が決まります。Bedrock Agents Classicから移行する際は、モデルのトークン料金だけでなく、AgentCoreの実行基盤と各機能の料金も含めて見積もる必要があります。
- 現在のエージェントが安定動作しており不満がなければ、すぐに移行する必要はない(移行期限は設定されていない)
- 新しいモデルを使いたい・別のAWSアカウントへ環境を展開する・MCPツールを導入する・OpenAIやGeminiも選択肢に加える・長期メモリや高度な監視が必要、といった場合はAgentCoreへの移行を検討する
- 新規プロジェクトをBedrock Agents Classicで開始するメリットは小さい。新機能とモデルの追加が停止されているため、将来的にAgentCoreへ作り直すことになる可能性が高い
新規開発ではAgentCoreを選ぶべき
2026年7月30日以降にAWS上でAIエージェントを新規開発する場合は、原則としてAgentCoreを選ぶのが妥当です。Bedrock Agents Classicに近い開発体験が必要ならAgentCore harnessを利用できます。設定だけでモデル・システムプロンプト・ツールを定義し、エージェントループをAWSへ任せられます。既存フレームワークや独自処理を利用する場合はAgentCore Runtimeを選べます。AWSの実行基盤を使いながら、モデルやエージェント設計を自由に変更できます。
AgentCoreはBedrock Agents Classicの単純な名称変更版ではありません。AWSが管理する固定的なエージェントサービスから、モデル・ツール・実行環境を組み合わせるモジュール型のプラットフォームへ方針が変わったと考えるべきです。
よくある質問
Q既存のBedrock Agentsエージェントはいつまで使えますか?
AAWSは終了予定日を発表しておらず、既存ユーザーへの移行期限も設定されていません。過去12か月以内に利用実績があるアカウントは、既存エージェントの実行に加え、新しいエージェントの作成も引き続き可能です。ただし新機能や新モデルは追加されないため、長期的な観点ではAgentCoreへの移行を検討したほうがよいでしょう。
Q開発用アカウントの利用実績を、別の本番用アカウントに引き継げますか?
Aいいえ。許可リストへの登録はAWSアカウント単位で判定され、AWS Organizations内で同じ組織に所属しているかどうかは関係ありません。本番用に新しく作成したアカウントに利用実績がなければ、そのアカウントではBedrock Agents Classicの新規エージェントを作成できません。
QAgentCore harnessとRuntime、どちらを選べばよいですか?
ABedrock Agents Classicと同程度の抽象化で十分ならharnessが適しています。設定だけでモデル・ツール・メモリを定義でき、エージェントループの実装は不要です。マルチエージェント構成や既存のLangGraphアプリケーションなど、独自の制御が必要な場合はRuntimeを選びます。
QIAMポリシーを修正すればAccessDeniedExceptionを回避できますか?
Aいいえ。このエラーは権限不足ではなく、Bedrock Agents Classicの利用実績がないアカウントに対するサービス側の制限です。bedrock:CreateAgent権限を追加しても解消せず、AWSは例外申請も受け付けていません。新規にAIエージェントを構築する場合はAgentCoreを利用する必要があります。
まとめ
Amazon Bedrock Agentsは、2026年7月30日から「Amazon Bedrock Agents Classic」へ名称が変更され、新規顧客への提供を終了しました。ただし、Amazon Bedrock全体が終了したわけではありません。モデル推論・Knowledge Bases・Guardrailsは今後も利用でき、既存のBedrock Agentsユーザーも作成済みのエージェントを継続して実行できます。
過去12か月以内に利用実績がないAWSアカウントでは、CreateAgentとInvokeInlineAgentがHTTP 403で拒否されます。例外申請はできないため、新規ユーザーはAmazon Bedrock AgentCoreを利用する必要があります。既存ユーザーに移行期限はありませんが、Bedrock Agents Classicには新機能や新しいモデルが追加されません。現在の構成をそのまま維持したい場合はClassicを継続し、新モデル・MCP・長期メモリ・複数のモデルプロバイダー・独自フレームワークなどを利用したい場合はAgentCoreへ移行するのがよいでしょう。新規開発ではAgentCore harnessまたはAgentCore Runtimeを選び、Bedrock Agents Classicは既存システムを維持するためのサービスとして扱うのが現実的です。

