【C#】非同期処理と並列処理の違い|TaskとParallelの使い分け

C# では Task を使った非同期処理と、Parallel クラスを使った並列処理を実装できます。一見似ている両者ですが、目的や動作の仕組みは異なります。違いを理解して適切に使い分けることで、効率的で無駄のないプログラムを構築できます。本記事では「非同期処理」と「並列処理」の違いを整理し、TaskParallel の使い分けを解説します。

非同期処理(Task)の特徴

非同期処理とは「処理の完了を待たずに次の処理へ進む」仕組みです。主に I/O 待機(ファイル読み書き、ネットワーク通信、DBアクセス)に効果を発揮します。CPU は待機中に別の仕事を進められるため、アプリ全体の応答性が向上します。

using System;
using System.Threading.Tasks;

class Program
{
    static async Task Main()
    {
        Console.WriteLine("処理開始");

        // 非同期処理(I/O 待ち)
        var task = ReadDataAsync();
        Console.WriteLine("別の処理を実行中...");

        var data = await task;
        Console.WriteLine($"結果: {data}");
    }

    static async Task<string> ReadDataAsync()
    {
        await Task.Delay(2000); // 疑似的なI/O待ち
        return "データ取得完了";
    }
}

この例ではデータ取得を待っている間に別の処理を進めることができ、UIアプリならフリーズを防げます。

並列処理(Parallel)の特徴

並列処理とは「複数の処理を同時に走らせる」仕組みです。主に CPU 計算が重い処理を分割して並列化することで、高速化を狙います。Parallel.ForParallel.ForEach を利用します。

using System;
using System.Threading.Tasks;

class Program
{
    static void Main()
    {
        Console.WriteLine("並列処理開始");

        Parallel.For(0, 5, i =>
        {
            Console.WriteLine($"{i} の計算開始");
            Task.Delay(1000).Wait(); // 疑似的な重い処理
            Console.WriteLine($"{i} の計算終了");
        });

        Console.WriteLine("すべて完了");
    }
}

ループの各要素がスレッドプール上で同時に実行され、全体の処理時間を短縮できます。

非同期処理と並列処理の違い

項目 非同期処理(Task/async-await) 並列処理(Parallel)
目的 I/O 待ちを効率化し応答性を高める CPU 計算を分割して高速化する
動作 待機中はスレッドを解放して他処理を進める 複数スレッドで処理を同時実行する
得意分野 ネットワーク通信、ファイルI/O、DBアクセス 数値計算、画像処理、シミュレーション
制御方法 async/awaitTask Parallel.ForParallel.ForEach

TaskとParallelの使い分け

  • I/O 待ち処理: 非同期処理(Task + async/await)を選ぶ
  • CPU 集中処理: 並列処理(Parallel)を選ぶ
  • 両方を組み合わせることも可能(例:大量のファイルを並列に読み込みつつ、各読み込みを非同期で処理)

まとめ

非同期処理と並列処理は似て非なるものです。

  • 非同期処理(Task)は I/O 待ちを効率化し、応答性を向上させる
  • 並列処理(Parallel)は CPU 計算を分割し、処理を高速化する
  • 用途に応じて正しく使い分けることが重要

適切に活用すれば、C# アプリケーションのパフォーマンスとユーザー体験を大きく改善できます。